ゆでたまごという組織が生まれる前のおはなし


第13話「ゆでたまご」

 

今は2018年11月。
ブルブルと震えながら、
私は茹で卵を作っていた。

卵は、いいなぁ。
温かいお湯で、気持ち良さそう。
鍋の上でゆらゆらと転がる卵を見つめていたら、こちらまで心がホクホクしていた。

茹で卵が出来るまで、
今までの過去を振り返ってみた。

ー18歳を迎えた誕生日の2ヶ月後には、高校を卒業し、正社員で一人暮らしでの生活が始まっていた。
社会に飛び出して、いろんな事があった。長時間労働による体調不良で退職。年金や健康保険による予想外の出費。

今日まで、慌ただしい日々であった。

社会のことは、
だれかが教えてくれるわけではない。

自分で失敗経験して学んでいく。
しかし、身寄りのない孤立した状態の失敗は命を脅かす。

そんな時に、支えてくれた委員会のメンバーたち。
ガイドブックに乗せるために、支援団体と繋がりを作っていたことにも救われた。

次に児童養護施設を自立する後輩のためにと活動していたのに、自分が支援団体にお世話になることもあった。

なんにせよ、繋がりは大事だー

そうこう考えている間に、茹で卵が完成。

…団体名、「ゆでたまご」ってのアリじゃないか?なんか美味しそうだし、温かいイメージだし、いい感じじゃん?

アイディアの神が舞い降りた。

唐突の発想だったけど、なんだかワクワクした。

早速、会議でメンバーに団体名を
「ゆでたまご」でどうか、提案した。

第一声は「えっ?キン肉マン?」
ドッと笑いが、起きた。

ガイドブック作成員会には、20〜60代の人間がいるからジェネレーションギャップはよく起きる。

発想が世代ごとに違うから、
これがまた面白い。この団体の特徴だ。

…なぜキン肉マンなのか分からない私に、メンバーはキン肉マンの作者さんがゆでたまごというペンネームだと教えてくれた。

由来は、語彙力のない私から、メンバーが会話の中から引き出してくれてまとめることができた。

ゆでたまごの由来はこうだ。
ーゆでたまごは、温かいお湯がないとカタチにならない。人も同じで、温かい人たちの支えによって自立しカタチのある人になる。

人もたまごも、温められてカタチになる。

「ゆでたまご」名前が決まったことで、
メンバーに団結力が生まれた気がした。

活動を始めてようやく、団体名が決まったのだ。
そこからは、ロゴを考えたり、缶バッチの記念品作ってみたり盛り上がりを見せてきた。

こうして、
いろんな人に、温められて産まれる
ゆでたまごのガイドブックを目指して、新たな冒険が始まったんだ。

冒険の書を記録しますか?
▶︎はい
いいえ

冒険の書を記録しました。

 

次回、
最終章「ー活動から2年後ー」