第1話【人生に悔いはない。だから死ぬ!】高校生の私。
「私インハイ終わって、児童養護施設を退所したら死ぬから!インハイという人生をかけた目標を達成したから、人生に悔いはない。」
と、尊敬している理科先生に言った。
先が見えない未来が怖いなんて絶対言えない。
施設を出て親に振り回される恐怖、虐待は連鎖すると巡るニュース。そんな中で幸せな家庭なんて作れるわけない。そして、SNS上では人を叩いては、自分は無関係、他人に押し付けることを喜びとしている人たち。
こんな社会で怯えて生きるなら幸せなまま死にたい。
それが本音だ。
なのに、先生は言うんだ。
「人生もっと楽しいことある!インハイよりもずっとずっとわくわくすることはある」って。
尊敬する先生が、そう言うなら信じてみよう。
私はもう少し生きてみようかと思った。
単純な私の思考。
大したことなさそうな先生の一言。
その2つに、私は救われた。
つづく。
第2話
「先生の嘘つき」